「Less is more」
少ないことはより豊かなことである。
ミース・ファンデル・ローエの言葉です。
今日は、そのミースの代表作である
バルセロナチェア
について名作の理由を探ります。
コルビジェやライトと共に、
三大巨匠の一人と呼ばれている、
ミース・ファンデル・ローエ。
モダニズム建築を代表する、
ドイツの建築家、デザイナーで、
バウハウスの3代目校長を務めました。
バウハウスとは、
1919年にドイツに設立された学校で、
“すべての芸術を建築のもとに
統合する”ことを
目標にしていました。
ちなみに、バウハウスは、
ドイツ語で「建築の家」を
意味しています。
しかし、
ミースは、第二次世界大戦を機に、
アメリカへ亡命し、
イリノイ工科大で教鞭をとります。
それも運命なのか、
ミッドセンチュリーへと
繋がっていき、
時代の先端を行く
モダニズム建築家として、
より才能を開花させていきます。
では、
バルセロナチェアを見ていきましょう。
発表は1929年です。
この椅子は、
目的があってつくられたもので、
バルセロナで行われた万国博覧会の
ドイツ館の設計を担当したミースが、
スペイン国王夫妻を招き、
開会レセプションを行うために
つくられたものです。
しかし、国王夫妻はこの椅子に
座ることはなかったそう。
デザインの特徴は、
360度どこから見ても美しいデザインと、
流れるように、しなやかな
脚のラインにあります。
バルセロナチェアは、
「王の椅子」とも呼ばれていて、
脚の部分は、
デザインモチーフに二つの説があります。
それは、
古代の力の象徴である「ハサミ」とか、
王の象徴である「剣」、
ともいわれています。
いずれにしても、
このスタイリッシュなラインは、
とても美しく印象的です。
1929年に発表された椅子は、
激動の時代背景により、
1948年に、
亡命先であるアメリカの
Knoll社で復刻されます。
しかも、当初のモデルは、
ミースにとって不完全であったため、
それを改良すべく、
同社の技術と研究によって、
要望をクリアしたものが発売されます。
ミースがデザインのテーマとしていた言葉、
「God is in the details」
神は細部に宿る
プロダクトに完璧を求めるこだわりが、
言葉では表現できない存在感と、
究極に美しいデザインを
生み出したといえます。
これが、世界中の人々に愛されている
理由なのだと思います。
ところで、
学生時代のパース演習で
お題になったのが、
忘れもしない、
ミースのファーンズワース邸でした。
全面ガラス張りの家…。
なかなかの衝撃。
どう暮らすの?
窓ガラスの掃除が大変そう。
そんなことを考えてしまった私は、
住んではいけません!
そのデザインの素晴らしさと
価値を理解し、
美しさを保てる人でなければね!
徹底したミニマルな
美しさにこだわった、
ファーンズワース邸は、
ミースの思想が詰まった、
Less is more を
実感できる建築なのです。
それでは、
Happyな一日をお過ごしください!